大学入学共通テストへの私の希望:
「これまでのセンター形式50%」+「新形式50%」(記述はどっちでも)
今回は数学についてです。
「数学は、独自の言語「数学語」で書かれており、「数学的文法」によって流れを読み取らなければ問題が解けない」という意味で、多くの受験生を苦しめる存在であると思われます。
その傾向が顕著なのが、おおざっぱな出題に対して、記述式の答案を作成し、答えだけではなくプロセスまで評価される、「各大学の個別試験」です。
「数学語」の読解と「数学的文法」による解釈ができて、想像力・発想力を働かせることに加え、数学語での表現力も必要になります。
「標準的なパターンの複雑な組み合わせ」をいかに解きほぐすか、多様な選択肢の中から先を見通して最適な解法を選ぶことができるか。
それに対し、現在の「センター試験」は、個別試験で出題されてもおかしくないような難しいテーマもありながら、設問形式が誘導型になっています。
そのため、少し長い文章となり、「数学語」の読解と「数学的文法」による解釈が特に重要で、「標準的なパターンの見極め」という処理系の能力が求められます。
そして、新たに導入される「大学入学共通テスト」。
話題の記述は、数学Iの範囲で、ほんの少しだけ、ごくごく短いものです。
大学の個別試験の記述とは、まったく異質のものです。
記述の導入がこのテストの一番のトピックのように報道されますが、まったく違います!!
まず、目を引くのは、問題文の長さ。
数学IIBについて、同じ60分のテストでありながら、問題が
センター試験:14ページ
共通テスト:25ページ
です。
問題の中身も、既存の数学とはまったく異質のものが多いです。
1)会話調の文章に沿って、1つのことを深めていく
2)日常的なテーマを数学に翻訳して、解いていく
3)数学の本質的な部分を、工夫した出題で確認していく
というものです。
1)、2)は数学の問題でありながら、「数学語」でなく「日常語」が使われることがあります。
これは、けっこうな問題点です。
日常語を数学に直してから、数学の問題を解く、という不要とも思えるステップを、短時間のテストでやらせるわけです。
3)は好意的に感じられますが、これも、かなりの長文になることもあり、途中で論理展開についていけなくなる可能性もあるものです。「教科書に載っていない内容でも、誘導で読解できるようなら、出題する」と明言されています!
「普段の学校の授業をこういう形にしてもらいたい!」というメッセージがこもっているのだと思いますが、それをテストにしてしまうのは、問題をはらんでいます。
すべての問題がこの調子なので、時間がかかって仕方がないです。
「あれでは枝葉が多すぎて、数学のテストではない」との声も聞きます。
〇まとめ〇
個別試験=数学語・数学的文法での直接対話
センター試験=決まった枠での数学語・数学的文法での対話
共通テスト=日常語⇄数学語、日常テーマ⇄数学化、
初見の枠での数学語・数学的文法での対話
解法暗記がベースになっているいまの数学教育を変える、という意味で、共通テストの意義は大きいです。
だから、「記述をなくせ」はどうでも良いのですが、「センターに戻せ」はやらないで欲しいのです。
私は新形式を好意的に捉えていますが、すべてあの形式にするのはやり過ぎであるとは思います。
以上が、
「これまでのセンター形式50%」+「新形式50%」(記述はどっちでも)
が良いな、と思う理由です。