青銅器の魅力は、数千年前に美しく作られたモノが、長年土の中に居ることにより、自然に返ろうとする瞬間を切り取っているところ(私見)。
「銅も土に還ろうとする」
https://www.phi-math.com/entry/2019/11/16/201400
にも書きましたように、内側からわき出してくるような緑青(さび)は、まるで生きているかのごとし、です。
数千年も土の中に居ると、内部まで“腐っている”ような感じで、叩くと鈍い音がします。
金属的な「カ〜ン、カ〜ン」「キ〜ン、キ〜ン」ではなく、何とも言えない「ブォ〜ン、ブォ〜ン」という感じです。
※金属音がするようなものは、偽物の可能性があります。
※叩き過ぎは、禁物です!
しかし、内部まで腐っているようであっても、青銅器内部には、金属光沢が残っています!!
写真では、先端部分に金属光沢があります。
別の青銅器でも、傷のついたところは、金属光沢を見せています。
神戸市の国宝・桜ヶ丘銅鐸(14個)のうちの1つも傷口が10円玉のような色をしています。
古代中国の青銅器も同様で、表面全体に金属光沢があるものもあります(磨いているだけ?)。
この金属光沢のおかげで、自然に返ろうとする中の、「生」を感じることができます。
「生まれた頃の自分は、美しく輝いていたのだ!」とアピールしてくれているかのよう。
ちなみに、大阪の下田遺跡で発掘された銅鐸は、出土時、全体が10円玉のような光沢をもっていたそうです。
空気に触れることで、見る見る錆びていったのだとか。
※錫が5%ほどしか含まれていないため、10円玉の色だったようです。
もっと多いと黄金色、銀白色となります。
【参考文献】