0が入った比を認めると、「すべての比は0 : 0に等しい」ことが分かり、
すべての数は0と等しい
ことが導かれます。
「“ゼロ”の比が世界を崩壊させる」
https://www.phi-math.com/entry/2019/11/18/180000
でお話したことです。
ですが、
「同じを同じと思えること」
https://www.phi-math.com/entry/2019/11/17/224331
で紹介した通り、比=有理数(分数・rational number)です。
0を有理数に入れないのはマズいです。
今回は、この課題をどのようにクリアすれば良いのかを考えます。
「2つの有理数が等しい」とは次のような状況のことを言うのでした:
***
a/b,c/d (a,b,c,dは自然数)が等しい、つまり、 「a/b=c/dの等号が成立する」というのは、
ad=bc
が成り立つことを言います。
***
a,b,c,dは自然数としているから、この定義自体は、問題ありません(世界を崩壊させません)。
自然数は、“正”の整数のことで、1,2,3,・・・ですから、0は自然数ではありません(整数ではあります)。
分数を考えるとき、分子が0の「0/2」などは、単に0を表すのでした。
しかし、分母が0の「2/0」などは、「0で割るということが考えられない」から、定義されないのでした。
これを思い出すと、世界を崩壊させることなく、0の入った比を考えることができそうです。
正の有理数は、
a/b (a,bは自然数)
と表せます。
0も有理数の仲間に入れるとしたら、
a/b (aは0以上の整数、bは自然数)
あるいは、同じ意味ですが、
a/b (a,bは0以上の整数、b=0は除く)
と見れば良いのです。
比で言うと、
a : b (a,bは0以上の整数、b=0は除く)
だけを考えるという“ルール”にしてしまいます。
0 : 2 ・・・OK
2 : 0 ・・・NG
すると、問題だった
0が入った比を認めると、「すべての比は0 : 0に等しい」
での、0 : 0がルール違反になり、世界の崩壊は防げます!!
比と有理数は「同じ」なので、お互いがお互いに影響を及ぼしているのですね。