Mr.∅の数学と古美術

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モンティ・ホール問題について

モンティ・ホール問題について

 

 数学的に解けない問題
 https://www.phi-math.com/entry/2019/12/03/102339

 

で紹介しました。

もう少し詳しく書きたくなったので、何回かに分けて追加説明してみようと思います。

 

さて、次は直感的に正しいでしょうか?

 

100円硬貨を2枚投げるとき、結果は
 表表 裏裏 表裏
の3種類。
だから、2枚とも表になる確率も、2枚とも裏になる確率も、1枚ずつになる確率も、すべて1/3である。

 

「なんだかオカシイ気がする」

 

裏表1枚ずつがもっとたくさん起きそう。
なぜかと言うと、10円硬貨と100円硬貨で考えて・・・
10円、100円の出方は
 表表 裏裏 表裏 裏表
の4通りの結果があって、これらは等確率で起きると考えてよい(ように思える)から。
(厳密に等確率で起きるとは言えないでしょうが、通常の確率を考えるときは、「等確率で起きる」と“仮定”して理想的な状況下で考えるのです)

 

100円硬貨2枚のときも、①②と硬貨に名前を付けることで
①②の出方は
 表表 裏裏 表裏 裏表
の4通りの結果があって、これらが等確率で起き(るものと仮定して考え)ます。
だから、
 2枚とも表の確率=1/4
 2枚とも裏の確率=1/4
 1枚ずつ確率=1/2
というのが確率の正しい考え方です。

 

モンティ・ホール問題ではどうなるでしょう?

 当(当たり) ①(外れ①) ②(外れ②)

の3つの扉があります。そこに

 プ(プレイヤー)、モ(モンティ・ホール)、残(残りモノ)

を割り当てる作業を考え、その後、プレイヤーが変更するかどうかを考えるのです。
割り当ての結果は全部で6通りあります。次の通りに。

  当 ① ②
1)プ モ 残
2)プ 残 モ
3)モ プ 残
4)モ 残 プ
5)残 プ モ
6)残 モ プ

プレイヤーが変更して、アタリになるのは5)6)、ハズレになるのは1)2)です。
3)、4)はモンティ・ホールがやらかしてしまう場合です(笑)

まず、モンティ・ホールが、当たりの扉を知らない場合を考えてみます(おそらく、これはあり得ない!)。
このとき、上の6通りはどれも等確率で起こります。無作為に並べることに相当するからです。

だから、プレイヤーが変更してアタリの確率も、ハズレの確率も、1/3で等しくなります。

 

モンティ・ホールが“やらかさなかった”ときに限定すると、全体が2/3になって、そのうち、変更でアタリの(条件付き)確率が
 (1/3)/(2/3)=1/2
となります。変更しないでアタリ(変更でハズレ)も同じく1/2です。

 

では、ここからが本題。
モンティ・ホールが当たりの扉を知っている場合です。
このとき、モンティ・ホールは、やらかしません!
プレイヤーがどれを選ぶかで見ると

  当 ① ②
ⅰ)プ
ⅱ)  プ
ⅲ)    プ

で、これらはすべて、確率1/3で起こります。

ⅱ)ⅲ)の場合、モンティ・ホールは、必ず外れの扉を選ぶから

  当 ① ②
ⅱ)  プ モ
ⅲ)  モ プ

となって、プレイヤーは変更すると、必ずアタリになります。変更したら、必ずハズレです。

ⅰ)の場合、モンティ・ホールは①②のどちらかを選びます。

    当 ① ②
ⅰ-1)プ モ
ⅰ-2)プ   モ

いずれも、プレイヤーは変更したらハズレです。もともと当たりの扉を選んでいますから。

だから、変更でアタリの確率は、ⅱ)ⅲ)を合わせた
 1/3+1/3=2/3
変更したらハズレの確率は、ⅰ)の
 1/3
です。
変更する方がアタリの確率が2倍になる、というのはこういうことです。

 

これをうっかりと、「全パターンは

    当 ① ②
ⅰ-1)プ モ
ⅰ-2)プ   モ
ⅱ)    プ モ
ⅲ)    モ プ

の4種類で、変えてアタリは4つに2つ、だから確率は
 2/4=1/2
だ!」と考えてしまう危険性はありますね。

 

ということで・・・

「変えても変えなくても1/2だ」と思ってしまう理由。

・確率の考え方は正しいが、「モンティ・ホールが当たりを知らない」と思っているから

・「モンティ・ホールが当たりを知っている」と思っていても、確率の考え方が正しくないから

・なにも考えず、テキトーにやっているから

のいずれかでしょう。


最後のパターンが多いのかな・・・
だとしたら、数学的な説明をしても、きっと通じないのでしょう。
数学語は生きていくためのリテラシーとして、大事な第二言語ですから、身に付けておいて欲しいですね。
英語よりもずっと重要だと思います!