2000年前の中国、漢の時代に作られた漆器.
耳坏.
耳のついた杯.そのまんま.
漆,漆器は「Japan」と呼ばれているらしい,などと聞いたことがありますが,2000年前の弥生時代の日本に漆器は無いはず.
縄文時代から漆は使われていましたが,土器に塗ったり,藤で編んだ籠にコーティングしたりはしていたみたいです.
木製品に塗る漆器はなかったのではないかと思います.
中国は4000年以上も前から青銅器を作っていたわけで,技術の高さは,それはそれはスゴイです.
漢の時代には,青銅器に金をコーティングする技術(鍍金・ときん,メッキ)も開発されていましたし,粒金といったものすごい金属加工技術が用いられていました.
ちなみに,その前の戦国時代頃は,金属の小片を嵌め込むことによる装飾(象嵌・ぞうがん)が行われていました.
耳坏の表の模様は,象嵌の模様のような印象.
漆黒であったはずの表面は、緑と茶が入り交じった色合いに変化し,斑(まだら)状になっています.
でも,表面は,昨日作られたかのように滑らかで堅固.
余談ですが,ヨーロッパなどに漆器をもって行くと,乾燥のために,すぐボロボロになるのだとか.
漆文化は,日本,中国,朝鮮半島,東南アジアに見られるみたいです.
特に,タイの漆器は蒟醤(きんま)と呼ばれます.