Mr.∅の数学と古美術

数学講師が語る数学と古美術、「数学語」・「数学的文法」で日本の数学教育を変えたい!

平安・鎌倉時代の日本刀は山ほどあるけれど,甲冑は室町時代のものもほとんど残っていない

日本刀と甲冑.

どちらもサムライのイメージですが,扱いはぜんぜん違います,

 

日本刀は,武家の表道具として大事にされてきました.

戦の褒美として与えられたり,敗者から分捕ったり,江戸時代には刀を鑑定する本阿弥家があったり,歴史の表舞台にたびたび登場します.

ちなみに,本阿弥家が発行した鑑定書を,折紙(おりがみ)といって,「折り紙付き」の語源になっています.“折り鶴”が付いているわけじゃないんですよ(笑)

 

平和な時代と戦の時代で,刀の形式は違っていたりしますが,平安時代から,鎌倉,南北朝,室町,戦国,桃山,そして江戸時代,幕末,戦時中,現代と,各時代を象徴する刀が,たくさん残されています.

 

一方,甲冑.

江戸時代には大名がきらびやかなものを作っていますが,戦の時代,それは身を守るためのもの.

矢を防げたら良かったのが,火縄銃からの防御も考えないといけなくなって・・・

と変化してきました.

軽量化のために「鉄と革」の小さな板を織り交ぜて,ヒモでつないで作られていたのが,一枚の鉄板で作られるようになったり.

古い甲冑部品は,バラバラにして再利用されたり.

そんなこんなで,室町時代以前の甲冑なんで,ほとんど残っていないのです.

あるとしても,神社に奉納されたもの.

国宝とか重要文化財とかになっていて,一般人が入手するなんて,不可能です.

これらを見ると,鉄,銅,漆,布,糸,……と時代の粋を集めた総合工芸なんだと分かります.

鎌倉時代の兜(ヘルメット)なんて出てきたら,家が買えるんじゃないか,という値段になることも・・・

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たびたび登場するこの脛当(すねあて).

室町時代の作を,江戸時代に再利用したもの.

元々は鉄地がむき出しなのを,表には黒漆,裏には金白檀塗りを施したのです.

黒漆,金箔,透き漆と施すことで,独特の風合いが出るのが,金白檀塗り.

金が鮮やかに見えるような写真にしましたが,実際にはちょっと赤っぽい色も出ます.

いわゆる金錆ですね.

小判にもよく見られます.

純金は錆びないですが,微妙に含まれる不純物が発色しているのだと思います.

 

うだうだと能書きを垂れましたが,そんなことを考えることなく,純粋にカッコイイな,と思うわけです.