古美術と統計学,実はつながっているんです!
古美術品と言えば,贋作がつきもの.
私も何回か,ダメなモノを買ったことがあります.
安かったから諦めもつきますが・・・高いモノだったら悔やんでも悔やみきれません.
(統計と言っても,だまされる確率は・・・を考えるわけではないですよ)
日本では骨董屋さんとの信頼関係で買うことが多いですが,海外の方は,シビアです.科学的な調査結果が無いと買わない,なんて人も多いそう.
では,どんな調査方法があるんでしょう?
考古学でも使われる年代測定法.私が知っているのは3つです.
1.炭素を利用するもの
炭素の原子には,電子が12個含まれています.普通は.
でも,一定の割合で,電子が14個含まれているものがあるのです.
生物や木材など,生きた状態ではその割合は維持されるそうですが,死んでしまうと,どんどん14個炭素は減っていきます(ちょうど半分に減ってしまうのにかかる時間を半減期と言います).
14個炭素の残存率を測定して,素材(象牙とか木材とか)がいつ命を失ったのか,を特定できるのです.
誤差はあるので,統計的に,「この範囲に入る」と推定します.
また,いくらか検体として素材を削る必要があって,破壊検査です.
2.年輪を利用するもの
木材限定ですが,年輪の幅のパターンを解析して,どの年代に育った木材であるかを特定することができます.
ヒノキのようなキレイな年輪を作る木材では,よく当たるみたいです.
とは言え,過去の年輪データをぴったり一致するわけはなく,どの年代との整合確率が最大であるかを,統計的に推定します.
炭素の方法とは違い,ピンポイントで年代を特定できるのがメリットです!
しかし,良好な年輪データが採取できることは少ないようです.
年輪データは,X線CTを利用した写真を用いて測定します,非破壊です!
3.鉱物の性質を利用するもの
この方法を最近知りました.
鉱物は,自然に放置しておくと,放射線を溜め込むそうです.
溜め込まれた放射線は,500°以上に加熱されると放出してしまうそうで,その時点から改めて溜め込みます.
ということは・・・
この性質を利用して,何かの年代を測定できます.
そう,陶磁器です.
粘土や石で形を作って,高温で焼いて作るわけですから.
陶磁器を削って,溜め込まれた放射線量を測定したら,最後の加熱がいつなのか,が分かるのです.
もちろん,誤差はあるので,統計的に,「この範囲に入る」と推定します.
土器,埴輪,陶磁器・・・の年代測定に利用されているそうです.
だからと言って,削ってしまうのは・・・
そういった事情で,穴が掘られた陶磁器が増えているそうです.
破壊検査,おそるべし!
非破壊で調べられる技術が開発されるのを期待しています.
※これは穴はあいていないですよ(笑)
↓
古美術と統計学,つながっているんですね.