理解の上書きシリーズです.
(-1)×(-1)=1
法則として理解していて,計算で使いこなせる人が多いですが,こうなる理由を明確に述べることって,案外,難しいのです.
・数直線上に数字を並べていくとき,0よりも右にあるのが正の数,
左にあるのが負の数.
・0から,左に距離1だけ進んだところにある数が,-1.
そんなイメージでしょうか?
それとも,
・1円の借金のこと
・南向きに-1進んだら,北に1進んだことになる
・マイナスとマイナスを掛けたらプラスだから,(-1)×(-1)=1
などが思いつくでしょうか?
そもそも,-1って,正確には何のことなんでしょう?
(-1)×(-1)=1
を法則ではなく,数の定義から厳密に導こうとすると,「-1って,何だ!?」に答えることが必要になります.
実は,-1は,「和」を使って定義するのが正解です.
つまり,
1+a=0
を満たす数がただ1つ存在して,それをa=-1と表すことにしているのです.
1+(-1)=0
これが定義です.
一方,引き算で
1-1=0
となることも知っています.
だから,数に対して計算を施す(作用させる)という観点から言うと,
+(-1) と -1
は同じ作業を表しています.
3+(-1) と 3-1
は同じ計算結果を表していて,
3+(-1)=3-1=2
です.
ところで,
2+3=5
3+2=5
のように,足し算って,足す順番を変えても,計算結果は同じになります.
だから,
1+a=0
と同じ計算結果になるのが
a+1=0
です.つまり,
(-1)+1 も 0
を表しています.
意外とややこしいですね.
では,この辺で,
(-1)×(-1)=1
の証明に移りましょう.
(-1)×(-1) が 1 である,と特定する感じで見ていきます.
1に他ならない.
だって,そんな数は1だけだもん.
という感じです.
唐突に感じるかも知れませんが,(-1)×(-1)-1 を計算してみます.
(-1)×(-1)-1
=(-1)×(-1)+(-1) ☜ -1と+(-1)は同じ計算操作
=(-1)×(-1)+(-1)×1 ☜ 1を掛けても,値は変わらない
=(-1)×(-1+1) ☜ 分配法則
=(-1)×0 ☜ -1の定義
=0 ☜ 0を掛けたら,必ず0になる
つまり,
(-1)×(-1)-1=0
(-1)×(-1)から1を引くと0になる.
1を引いたら0になるような数は,1のみだから,(-1)×(-1)は1と一致するはず!
だから,
(-1)×(-1)=1
なんですね.