これを見て喜ぶ人が全国に何人いるのだろう?
と思いつつ,写真をアップしてしまう(笑)
これ,銅製の造形物の端っこにくっ付けられた鉄金具.
磁石が付いたので間違いありません.
錆まくっていますが,メタルが残っていて,安定しています.
銅と鉄を比べると,強度は,鉄が勝っています.
ですが,鉄には弱点があります.
それは,鍍金ができないこと.
古墳の副葬品は金ピカです.
金製品は少なく,銅に鍍金(メッキ・ときん)したものがほとんどです.
水銀に金を近づけると,金が水銀に溶けたようになります(アマルガムと言います).
それを金属の表面に塗ったのち,火にかけて水銀を蒸発させます.
すると表面に金だけが残り,そこを滑らかにならすと,鍍金の完成!
銅に鍍金すると,金はしっかり定着します.
銀でも大丈夫.
金・銀・銅は,化学的にもお仲間なので,なじみやすいのです(あくまでイメージですよ).
でも,鉄は,ダメなんです.
金が定着しないのです.
だから,強度が必要な製品を鍍金するときには・・・
「鉄地金銅貼り」という手法がとられます.
つまり,銅の薄板に鍍金して,それを鉄に貼り付けるんです.
そこまでして金ピカにしたいんです.
馬具(鞍や各種装飾金具など)は,よくこの手法が用いられています.
出土すると,金の下から,緑青(銅の錆).
さらにその下から,鉄錆(写真の鉄の部分みたいな感じ).
カオスな感じになります.
この写真のものは,造形部分は銅,それらをつなぐ部分には強度が必要な鉄金具が使われています.
金銅は貼られていなかったと思います.
汚らしい金属の塊に見えるでしょうが・・・
1500年の時を経て,そんな作り手の工夫を感じることができるのが楽しいんです.
(ダメだ,書き出したら止まらないです・・・ついて来てくれてますか??)
本体については,これから調査していこうと思っています.
けっこうすごいモノかも知れないんですよ(笑)