最近の状況を見ていると,現代の社会構造や人の心の脆弱性に気づかせるために,見えない力が働いているのではないか,とさえ思えてきます.
「マスクがない」と私が困っていると,「ちょっとあるから,分けてあげるよ」と何人もの人が言ってくれて,本当に感謝しました.
こんなことが無ければ,そういう感情を抱くことはなかったかも知れません.
過度な情報に踊らされず,ゆっくりと学ぶのにはちょうど良い機会とも思えます.
(危機的な状況を乗り越えるのに必死な方も多いですから,軽はずみなことは言えませんが)
ということで,ちょっと仏像関係のことを書いてみようと思います.
木製の仏像の下地として塗られた,白色の塗料についてです(マニアック過ぎですが・・・).
赤とか青とか,鮮やかに彩色された仏像があります.
その色の下は,下地として白い色が塗られているのをご存じでしょうか?
その白色にも色々あるのです.
白土(はくど・磁器の材料になる白い石を砕いた粉)
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胡粉(ごふん・貝殻を焼いて粉末にしたもの)
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いずれも白い粉を膠で溶いて塗ったものです.
白土と胡粉で,かなり雰囲気が違うでしょ?
鎌倉時代(700年前)ころまでは白土,室町時代以降は胡粉が使われているようです.
ちなみに,奈良時代(1300年くらい前)の正倉院の宝物に胡粉が塗られたものもあって,表面の塗装については一概に言えないようです.
同じ奈良時代に作られた,有名な法隆寺「百萬塔」というものには,白土が塗られています.
また,金色の仏像は,金箔を漆で貼り付けた漆箔(しっぱく)という技法が使われていますが,鎌倉時代の途中くらいから金の粉(金泥・きんでい)を膠で溶いて塗ったものに変わります.
仏像の色だけを見ても,歴史の流れがあるのです.
古い仏像ほど味わいがあって,丁寧に作られていて,魅力的なのだと思います.
形式化していない美しさがあるのですね.
拙雅味(せつがみ)なんて言ったりします.
参考文献
古い本ですが,時代ごとの仏像の特徴をむちゃくちゃ詳しく説明してくれています!
興味ある人には,本当に本当に,オススメです!!!
ただし,この著者さん,古い仏像が大好きで,新しい仏像のことをけなす感じがあります.
ほとんど手書きの絵で説明しています.
そういうのを微笑ましく読んでもらえる方には,ぜひ.
キレイな写真を望まれる方には,
などもオススメです.
マンガで書かれた入門書などもあると思うので,みなさま,ぜひ,仏像を見てあげてください.
こんな時期だからこそ.