Mr.∅の数学と古美術

数学講師が語る数学と古美術、「数学語」・「数学的文法」で日本の数学教育を変えたい!

2020年・京都大学の数学・理系・第5問&文系・第5問 ~数学への取り組み方へ~

以前に「京大の数学は易しい難問」という記事を書きました.

 

www.phi-math.com

 

ですが,今年は,いつもと雰囲気が違って,「手数が多いもの」が散見されました.

過去問ばっかりやっている人は報われなかったのではないかと思います.

医学部医学科に合格した教え子たちも,6問中3~4問しか完答していないようでした.

 

ということで,2020年・京都大学から,理系・第5問&文系・第5問を取り上げてみようと思います.

正直言って,算数です.

小学生でも解けます!

むしろ,先入観や知識が無い分,小学生の方が解けてしまうかもしれません.


 🔲🔲🔲🔲
 🔲🔲🔲🔲
 🔲🔲🔲🔲
 🔲🔲🔲🔲

縦4個,横4個のマス目のそれぞれに1,2,3,4の数字を入れていく.
このマス目の横の並びを行(ぎょう)といい,縦の並びを列(れつ)という.
どの行にも,どの列にも同じ数字が1回しか現れない入れ方は何通りあるか求めよ.
下図はこのような入れ方の1例である.
 1  2  3  4
 3  4  1  2
 4  1  2  3
 2  3  4  1

<解答の道しるべ>

1)階乗,組合せなどの「公式」を使って数える問題か?

→NO!

 

2)対称性を利用して,「ある場合の入れ方」の〇倍

→「1行目が 1234 である入れ方」の〇倍
 〇…1,2,3,4の並べ替え方の個数=4!=24

 

3)「1行目が 1234 である入れ方」を考える

→3行目まで決まったら,4行目は自動的に確定する

 

4)2行目も,対称性が使えないか?と考える

 1  2  3  4
 🔲🔲🔲🔲

→入れ方は,たくさんある.
 1  2  3  4
 2 🔲🔲🔲

1の下に2がくる並べ方」の●倍

34がくる場合も同数あるから,●=3

 

5)2の下に何がくるか?

 1  2  3  4  1  2  3  4  1  2  3  4
 2  1 🔲🔲  2  3  🔲🔲  2  4  🔲🔲

→非対称!
 1がくる並び ☜6)

 34がくる並び
は違いそう!

 1  2  3  4
 2  3  🔲🔲 ☜7)

 1  2  3  4
 2  4  🔲🔲
は同数ある.

 

6)2行目の左から21がくる並び

→2行目は確定
 1  2  3  4
 2  1  4  3
 🔲🔲🔲🔲

3行目は,1,2列目に34または43で,同数ある.
34がくる並びは
 1  2  3  4
 2  1  4  3
 3  4  🔲🔲
残り2つは,12または21の並びがあり得る.
 2通り…①

 

7)2行目の左から23がくる並び

 1  2  3  4
 2  3  🔲🔲

→残り2列は41に確定

 1  2  3  4
 2  3  4  1
 🔲🔲🔲🔲

→3行目,1列目は3または4(同数ある).

3がくる並びは,
 1  2  3  4
 2  3  4  1
 3  🔲🔲🔲
残りは,確定(1通り)…②
 1  2  3  4
 2  3  4  1
 3  4  1  2

 

答えは

 〇×●×(2×①+2×(②×2))
 =24×3×(2×2+2×1×2)
 =72×8
 =576
通り.

 

いかかでしたか?

丁寧に分類して,うまく「同様に」を利用していくことで,スムーズに考えることができます.

 「確定ポイント」の意識

 「同様か否か?」の判断

によって,書き出す個数を減らせるように工夫したいですね.

 

要らぬことを書きたくなった

こういう試行錯誤が思考力・判断力を高めてくれます!

数学の力を本気で高めたい人は,「解法の徹底暗記」ばかりやっていてはダメですよ.

楽しくない修行をやっても,その勉強法では終わりがありません!

基本固めだけは必要ですが,それ以降は自分なりの解答を作るようにしましょうね.

 

参考書,問題集にある「大人の解答」なんて,ガラス製の作品のようなもので,まったく実用性がありませんから!!