Mr.∅の数学と古美術

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2020年・京都大学の数学・文系・第1問 ~絶対値の認知について~

文系の問題で,これは基本概念の組み合わせで解けるものでした.

けれど,そこは京大,あやふやなところがあると,もちろん,お手上げになります.

京大の問題にチャレンジするには,初めて見る数学的対象であっても,しっかりと意味をくみ取れるようにしたいですね.

 

さて,絶対値についてです.

難しく言うと,

 数直線上に数を配置するとき,

 0からの距離がその数の絶対値

です.例えば,

  |2|=2,|-2|=2

です.

  |-2|=2=-(-2)

と見ることができるから,一般に

  |a|=a または |a|=-a

です.

 

  x^2=4を解くと,x=2またはx=-2

は,2つの値が答えになる,という意味です.

しかし,

  |a|=a または |a|=-a

は,これとは違います.

 

 a≧0のときは,|a|=a

 a≦0のときは,|a|=-a

 

と決まっているからです.

2つの値が答えとして認められるのではないのです.

 

ちなみに,

  x^2=4を解くと,x=±2

は正しい表記ですが,

  |a|=±a ☜ダメ!

と書くのは間違いです.

「2つの値が認められる」わけではないからです.

 

こういった部分の理解があやふやだと,京大数学の問題は,意味すら分からないです.

 

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aを負の実数とする.xy平面上で曲線C:y=|x|x-3x+1と直線l:y=x+aのグラフが接するときのaの値を求めよ.このとき,Cとlで囲まれた部分の面積を求めよ. 

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「aが負」という条件を見落として,最初はa=-3,5と2つ求めてしまいました(笑)

実際は,負のものだけを答えるので,a=-3だけですね.

 

 誤答原因の8割は,誤読由来だ

 

と思っていますが,それを実践した形です.

 

絶対値の処理:

定義域の分割(これを「場合分け」とは呼ばない!)

Cは,

 x≦0においては,y=-x^2-3x+1(緑の点線)

 x≧0においては,y=x^2-3x+1(赤の点線)

と表されます.

定義域ごとに適当な方の点線を選択して,全体としては,薄い青の実線で描いたグラフになります.

 

あとは,微分して,接線の傾きが1になる点を考えるだけです.

 (x^2-3x+1)'=2x-3

だから,x=2で接していることが分かり,接線は

 y=1(x-2)-1 ∴ y=x-3

となって,a=-3となるわけです.

 

※もちろん,放物線と直線が接する条件だから,判別式=0を解いても良いでしょう.

 でも,面積まで考える問題だから,接点を求める必要もあります.

 微分の方が,そこはスムーズかも知れません.

 判別式で考える場合は,x^2-4x+1-a=0から,接点をx=2と見抜けないといけません.

 平方完成したら分かります.

 

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面積は,ちょっと工夫できます

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※本当は,丁寧に立式して,手際よく積分計算するのがオススメです.

 

京大数学の解説.よければ,こちらもどうぞ.

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