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この問題,ちゃんと意味が分かれば,条件の整理は簡単にできます.
「ちょっと計算したら終わり!」と思ってしまいがちですが・・・
そう甘くはなかった.
京大だから,計算量は不要だろうと高をくくっていた人は,慌ててしまったかも.
4つの式に,たくさんの文字.
手に負えなくなってしまう危険性のある問題です.
ポイントは,2次関数の
置き方
です.
2次関数を表す式の形は,いくつかあります.
基本:y=ax^2+bx+c
頂点:y=a(x-p)^2+q
交点:y=a(x-α)(x-β)
その他,“戦略的”な置き方もあります.
例えば,
「y=3x+2とx=2で接する」
というときは,
「連立したら,x=2が重解」
という意味だから,
y=a(x-2)^2+3x+2
とおけるのですね.
そんなの,見たことないんですけど・・・
というのが,だいたいの感想だろうと思います.
その通りです.
こんな方法,学校では習わないですし,参考書にも載っていないでしょう!?
数学の先生でも,初めてみる人が多いと思います.
でも,大学入学共通テストでは
こういうのが大事なんですね!
「見たことがなくても,式の意味を理解して,答えないといけない」
という問題がどんどん出題されるハズ.
京大で求められるようなレベルが,大学入学共通テストでは,一般受験生にも求められるのですよ!
実際,センター試験と比べて,大学入学共通テストでは,平均点はうんと下がると思われます.
さて,では,京大の問題について考えていきましょう.
求める2次関数をf(x)と表すことにします.
直交する2点のx座標をp,q (p<q)とおくと,f(x)が満たす条件は,
① f(p)=p^2 ② f(q)=q^2 …x=p.qが共有点になる
③ f'(p)=-1/2p ④ f'(q)=-1/2q …接線が直交する
という4つのすべてを満たすこと.
どのようにおきましょうか?
①と②を利用
「y=x^2と連立したら,x=p.qが解になる」
という情報を生かして,
f(x)=a(x-p)(x-q)+x^2
とおけます.これと③,④を組み合わせたら,解けそうですね.
つまり,aをp,qで表し,p,qが満たす関係式が得られます.
①と③を利用
「y=-(1/2p)(x-p)+p^2とx=pで接する」
という情報から
f(x)=a(x-p)^2-(1/2p)(x-p)+p^2
とおくことがます.これと②,④を組み合わせたら,解けてしまいます.
色々といけますね!
せっかくなので,ちょっと変わった方法を考えてみましょうか.
③と④を利用
「f'(x)=-(1/2x)を解いたらx=p,q」
という情報が得られます.f'(x)は1次式です.
f'(x)+(1/2x)={2xf'(x)+1}/(2x)
で,この分子が(x-p)(x-q)でくくれるから
2xf'(x)+1=a(x-p)(x-q)
∴ 2xf'(x)=a(x-p)(x-q)-1
とおけてしまいます.
右辺がxで割り切れるために
apq=1
となるから,
f'(x)={x-(p+q)}/(2pq)
とおけます.
これを積分してしまえば,f(x)をおくことが可能です.
f(x)={x-(p+q)}^2/(4pq)+C
これと①,②から,Cをp,qで表し,p,qの関係式を作ればOKです.
と言いつつ,どれでも計算はけっこう煩雑になってしまいます・・・
もちろん,
f(x)=ax^2+bx+c
とおいて計算するよりはマシだろうと思います.
楽にやる方法が無いわけではないですが,ちょっと知識が必要になるので割愛.
置き方へのこだわり,重要ですね!
しかも,ちゃんとわかっていると,自由に置くことができて,解ける幅が広がりそうです.
そんなの気づかない!
という風に思われるかも知れません.
でも,できれば,
基礎の深い理解でここまでできるんだ
と思ってもらえると嬉しいです.