教育学を専門とする友人から紹介された本.
日本の大学入試制度,高校・大学の問題点など,とても面白い視点で整理されています.
2012年の本なので少し古いのかな,と思うかも知れません.
でも,新型インフルが流行った少し後の時期のものなので,ある意味でいまに近いのかも知れません.
結局,何にも変わっていないのですね.
高校進学率が100%に近づき,高校が国民全員の学ぶ場となった.
悪い言い方をすると,大衆化した.
大学も,ベビーブーム世代のころに枠が拡大され,その枠を引き継ぐことで門戸は広がっている.
定員割れする大学も多いため,経営の最終手段として学力不問の推薦・AO入試が利用される.
学びの機会を全国民に提供するという立場からは間違っていない.
かつての高校の役割が大学に,さらに大学院に.
本当に「学び」を得ている人の割合は,どれくらいなのでしょう?
とりあえず高校には行く
何となく大学に進学する
じゃないと,就職とか不利でしょ?
みたいな感じになっている.
制度上も,おかしなところがたくさんあるみたいです.
高校卒業はちゃんと定義されておらず,学校長のハンコがもらえるかどうかだけで決まってしまう.
卒業資格テストのある国も多いようです.
センター試験(共通テストも)は,入試に必要な科目を選択できるという時点で,高校内容の習得度を測るテストではなく,大学入学の選抜に使われるもの.
また,各大学が独自の入試問題を作成して,「落とすための試験」をやっているのは日本くらいだとのこと.
1点刻み(あるいは,小数)の序列をつけることによって落とす受験生を決定するルールに,「公平性」を求めるのが日本人なのです.
「既存の選抜制度に勝ち抜くための教育をするのが高等学校」という異常な構造に誰も疑問を抱かない.
大学に受かるために高校に行くなんて,おかしな話なのですけど・・・
高校だけで完結しないなんて,変だと思いませんか?
受験戦争を助長する「予備校講師」という仕事をしているくせに,
どの口が言ってんの?
と我ながら思います.
上記のような歪んだ構造に挑むのが,高大接続・大学入試改革だったはず.
でも,色んなところのシガラミが深く絡み合い,身動き取れないのでしょうね.
変な論点で騒ぐマスコミに,現状維持が心地よい人たちが同調して,クレーマーになる.
色んなことが全部集約された結果が,いまの高3から始まる「大学入学共通テスト」なのです.
いまとなっては違和感しかない設計ですが,当初の理念は素晴らしかったのですよ!!
大学入試が高校学習内容を縛る現状を変えるための「高校生のための学びの基礎診断」なんて,まったく耳にしないですし・・・
要約にはぜんぜんなっていないし,論点の分かりにくい雑記になってしまいました・・・スミマセン.
詳しくは本を読んでみてください.