Mr.∅の数学と古美術

数学講師が語る数学と古美術、「数学語」・「数学的文法」で日本の数学教育を変えたい!

高大接続・大学入試改革について(低倍率による限界突入),統計の話もちょっと添えて

以前に紹介した本.

10年前に著者の佐々木先生が考えていたことが,どのような形になったのか?

ほぼ無意味になった「学びの基礎診断」にはどんな思いが込められていたのか,が分かるかも知れません.

日本の高大接続の問題点.

1)高校の大衆化により,普通教育の機関として機能していない,しかも卒業の認定は学校長の判断によるもので,高校卒業の統一定義はない

2)大学入試が学力維持の最後の砦であったが,少子化によりそれも崩れつつある

3)多様性を拡大解釈したことによる学力不問のAO・推薦入試(今後は名称が総合型選抜,学校推薦型選抜に変更)の蔓延

4)入試に必要な科目しか高校で学習しないことにより,偏った基本知識しか身についていない上,大学入学時に大学は,各学生がどのような履修をしてきたかを把握できない

5)入試などを通じて得た学生の状況は,大学入学後に指導の資料として用いてはならない,と法律で決まっている

 

2)について.

少子化により多くの大学で倍率が下がっています.

入試得点の分布は,十分に人数が多く,しっかりしたテストであれば,以下の正規分布のようなものになります.

 

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 その集団における偏差値を,横軸にとっています.

  偏差値50=平均点≒中央値=真ん中の順位

 で,倍率が2倍だったら,ちょうど真ん中の人までが合格です.

分布で言うと,この辺りに人は最も密集していて,ここで1点差,あるいは小数点以下での争いとなるのです.

本当に正しく識別できるのでしょうか??

 

 3倍の倍率なら,偏差値54くらいが合格ライン

 6倍なら,偏差値60くらい

となります.

倍率が3倍はないと,入試として成立していないとも言えます.

 

しかし,偏差値による序列,入試得点だけでの判断で良いのか,という考えもあります.

いまの大学受験指導は,「偏差値的に受かりそうなところを受ける」という感じ.

各大学の個性は,偏差値なのです.

なんてバカバカしい・・・

 

実は,大学ごとに入試問題を作って,個別にテストしている国は,日本くらいなんです.

 

テストを全部統一してしまって,

そのテストは年に何回も行って,

学校での学習状況なども総合的に考慮して,

そんな入試にしようよ

 

というのが 今回の改革の骨子だったはずが・・・

 

偏差値至上主義

日本的な入試公平感

 

があって,感情的な反発,マスコミ的な煽動に負けてしまった感じがします.

 

さて,今回共通テストでは,実質的に2回実施されることになって,しかも,得点調整はしないようです.

たぶん,大変なことになります.

得点という数値は,集団に依存するものだからです.

実は,神格化されている偏差値も集団に依存します.

 

集団に依存しない数値を出すテストの理論もあるのですけど,日本では浸透しにくいようです.

IRT(項目反応理論,項目応答理論)というものです.

コンピューター上で,この理論を用いたテストを行うと,1人1人にとって最適なテストを行うこともできるのですけど.

 

日本では,全員に,同時に,同じ環境で,同じ問題を解かせることが公平だ,という考えが強くて,なかなかうまくいかないみたいです.

民間に運営の一部を委託することすらできない日本・・・

マスコミの報道にもちょっと問題がありますね.

受験戦争で有名(これもマスコミの煽動)な韓国も,入試制度は意外と進んでいるみたいです.

日本のガラパゴス化は想像以上です.

 

◆IRTについては専門書もありますが,なかなか難しいです.

 ちょっとしたイメージを掴める内容が書かれた面白い本を紹介します.

  👇

 

 

◆これから読みたいな,と思っている本

  👇

 

乱文になってしまって,すみません.

最後まで読んでくださり,ありがとうございます.